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タイム・スリップ  [作者:えりんこ]

■ 〜33章〜

「えっ!? 未来!?」

正宗が後ろを向くと、未来はしゃがみこんでいた。

すると、自然に正宗の足が走り出した。

「未来! ねぇ。どうしたんだよ!」

すると、小さくて震えた声で未来が答えた。

「もう・・・無理でしたね。 こっちにはいられないです。」

「そういうこと言うのやめろよ!・・・やめろよ!」

正宗が啖呵(たんか)を切った。そして未来をキュっと抱きしめた。

「・・・正宗さんってあったかいですね。」

未来が照れくさそうに言うと、未来はすっと立ち上がった。

そして、明浩、テツヤ、龍男の方へ向かった。

「田村さん、これからもリーダー業、頑張ってください!ありがとうございました。とっても楽しかったです!」

そう言うと、明浩を軽く抱きしめた。

「テツヤさん、いつもいつも迷惑掛けてすいません。とっても楽しかったです!ありがとうございました!」

そう言うと明浩と同じように、テツヤを軽く抱きしめた。

「龍男さん、私のことに気づいてくれてありがとうございました。すっごく嬉しかったです!」

そうして龍男も未来は軽く抱いた。


すると、未来の首筋に冷たい物が掛かった。

「はい。これ! あげるよ。プレゼント♪」

正宗がニコリと笑ってペンダントをつけた。

「あ、ありがとうございます。」

そのペンダントをつけた勢いで正宗はもう一度未来を抱きしめた。





涙がこぼれ落ちた。 未来の頬に落ちた。




すると、未来の体がうっすら白くなり始めた。

「もう、行っちゃうの??行くなよ。」

正宗が涙声で未来にささやいた。

「俺は、未来が好きだよ。」

こうして、正宗は未来に自分の気持ちを伝えた。

それに未来はコクンコクンと何度もうなずいて、こう答えた。

「私は正宗さんが好きですよ。」

ニコリと笑ったその目が涙でうまった。


未来は涙を流す正宗をもう一度強く抱いて、頬に小さな小さなキスをした。






そして、未来はすーっと消えていった。






正宗の腕の中で静かに。






時が止まった気がした。



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