タイム・スリップ
[作者:えりんこ]
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〜28章〜
一方その頃未来は、龍男と話していた。
「ねぇ。未来ちゃん。もうすぐ向こうへ帰るんだよな。」
「え?そんな!帰りませんったら!何言っちゃってるんですか!?」
「無理しなくていいと思うよ。俺、見たんだから。」
「え?」
「手が白くなっちゃってるんだよね・・・。」
「・・・はい。」
未来は一言返事をすると、今まで赤かった目から大粒の涙がポトリと落ちた。
「帰りたくないです。絶対に。正宗さんと離れたく・・・ない。」
顔をふせて泣く未来の背中を龍男がそっとさすりながら言った。
「正宗だってつらいよ。あんなに大好きだった人が急に消えるだなんて信じたくないんじゃない?」
「私は・・・正宗さんの大好きだった人で・・・いいんですか??」
「俺はいいと思うよ。未来ちゃんと正宗はたぶん細い糸でつながってるんじゃない?」
「泣いたって・・・何も変わりませんよね。」
未来がそうたずねると、龍男はゆっくりした口調で答えた。
「そうかもしれないね。でも泣く時は泣いたらどう??我慢したら身体に毒だからね。」
その答えをもらった瞬間、未来はまた泣いた。ずっと泣いた。
途中でテツヤと明浩が部屋に入ってきたが、ずっと未来のそばにいた。
.............時がゆっくりと流れた。
「す、すいませ、ん!ハァハァ。あのこれ下さい!なるべく急いでください!」
「は、はい!」
正宗は近くの店に駆け込み、こんなやりとりをしていた。
↓目次
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