タイム・スリップ
[作者:えりんこ]
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〜30章〜
「ん゛〜。今何時だ??」
未来は目覚めた。まだ外は薄暗い。
「4時か〜。まだいいや!寝よっと!」
未来が再び眠りに入ろうとすると、なぜか手が異様に暖かかった。
「え。なんだろう。私冷え性なのに...」
そして、自分の左手を覗いた。すると、
「え!正宗さんじゃん。どうして?」
未来の左手には正宗がガシリとしがみついていた。
「でもいいや♪ おやすみっ!」
未来はクスっと笑って再び眠りの世界に入った。
その手は一生離れない気がした。
.........2時間後
「あっ!もう六時! 早く起きなきゃ。」
今までにぎっていた手をそっと離し、未来は起きた。
とっととご飯を炊いた。
最初におにぎりを作った時もこの時間に起きて、全く同じおにぎりをつくっていた。
正宗はアサリのしぐれ煮。もう正宗味となっていた。
テツヤは鮭わかめ。 これもテツヤ味となっていた。
明浩はカレーピラフ風。 カレーといったらもう明浩味だ。
龍男はしょうが焼き。 肉といったらもう龍男だ。
4つのおにぎりを並べて、未来はながめた。なんだか笑えた。
そして、自分のおにぎりを端に並べると、吹き出しそうになった。
「私ってバカだな〜!!」
すると、もう7時を回っていた。
「あっ!正宗さん起こさなきゃ!」
まだいびきをかいてぐっすり寝ている正宗を未来は起こした。
「正宗さん!起きてくださぁあい! いい加減にしてくださぁい!」
だが、夢でも見ているのだろうか、正宗はふにゃふにゃ笑って一向に起きようとしない。
そして、未来はいつものようにエプロンから孫の手を取り出して、こちょこちょをした。
すると、ガバっと正宗がいとも簡単に起きだした。
「ん゛〜。いつもその起こし方だよね〜。」
「だって、草野さん起きないんですもん! さぁさぁ!顔洗って!もうご飯できてますから!」
「ふぁ〜い。」
そして、いつものような朝食をとって、いつもの集合場所へと急いだ。
「正宗さん、ちょっと先に車乗っててください!」
「うん、わかった。」
正宗がアパートを出て行った後に、未来はテーブルに紙切れを一枚置いて、アパートをあとにした。
↓目次
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