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タイム・スリップ  [作者:えりんこ]

■ 〜27章〜

正宗は廊下を走っていた。どこまでも。どこまでも。

真正面のドアを開け放つと、その勢いで外へ転がりこんだ。





「消えるわけない・・・よ。絶対。」

目を押さえてつぶやいた。

すると、聞いたことのある声がした。

「草野、お前探したんだぞ。」

明浩が息せき切らして、探しに来た。

すると、正宗が口を開いた。

「ねぇ。未来、消えちゃうんだよね。なぁ。しょうがないよな。」

正宗の座り込んだあたりに、涙がポタポタと2,3滴垂れていた。

「お前、未来ちゃんに思い、伝えたか?」

明浩がたずねた。すると、正宗は首を横に振って答えた。

「このままでいいの? 思いを伝えなくて。」

もう一回たずねた。すると正宗はまた首を横に振った。

「じゃあ、明日伝えるんだな。絶対だぞ!」

「で、でも、どうやって?」

「お前さ〜! 告白の方法知ってるくせに何を今更!」

明浩がくすくす笑って言った。

「ホントにわかんないなら、教えてやるけど〜??」

「わ!わかったよ!!」

「お前、金ある?」

明浩が急に正宗にたずねた。

「この前、未来ちゃんがどっか行っちゃったときにさ、ペンダント切れちゃったんじゃん。
  だから新しいのでも買ってあげれば??」

すると、正宗は涙で真っ赤にした顔をあげて立ち上がった。
そして走った。 

「ぷっ。相変わらずだな。草野も。」

明浩が正宗の後姿を見ながらつぶやいた。



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