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夜を駆ける2  [作者:あつこ]

■29

僕が話している間はホタルはずっと僕を見つめながらうなずいたり、相槌を打って笑っていた
そして僕が話し終えるとホタルは「カズマは、たくさんの人に愛されて育ったのね」と儚げに笑った

今の「僕」はたくさんの人に支えられて成り立ってるんだな、と僕も考えた

時計を見ると、時間はさっきのまま、1時ちょい過ぎだった
せっかくのお気に入りだったのに、ブランド物だったのに、父さんに悪いことしたな、と思った
でも、なんだか僕は「まだずっとホタルと一緒に居られる」という感じがして嬉しくなった

このまま、時間が止まってしまえばいいのに。本当に時間が止まってしまえばいいのに。
と本気で願った
永遠にここでホタルと2人きりでいたい・・・そう祈っていたらホタルが口を開いた

「このまま、永遠にカズマとこうしていたい」小さく、叶わない願いのようにホタルは呟いた
僕は「僕も、同じこと考えてた」と言う

「永遠に、ずっっっとカズマと一緒に居られるのかな?私。永遠って、本当にあるのかな?」
ホタルが横目でこっちを見てきた
「あるよ、永遠は。きっとある。」
僕はホタルの眼を真っ直ぐに見つめてそう言った
「カズマと、一緒にずっとこうしていたい。」ホタルは何度も何度も繰り返し言った
僕はその度に「僕もだよ」と言った

夜風が冷たくって気持ちがよくなってきた
永遠。そんな言葉、マンガや映画の中だけだと思っていた
でも、今は信じたい。ホタルとの永遠を願いたい。

大人になって、またここに来て「こんなこと、あったよな」って言いながら
僕ら2人の子供を抱きしめて、ここでまたこうやって親子で星空を眺める。
そんな夢のような日が僕らに、訪れるのだろうか?
分からない、
でも信じたい。ホタルと未来を歩んで生きたい。

そう僕は夜空にしきりに願った。
その日の夜空はいつもより澄んでいて、キレイに見えたんだ。



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