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夜を駆ける2  [作者:あつこ]

■20

8月30日、

目が覚めたら、僕は部屋のベッドの上に寝て居た
そして、涙を流していた
朝の光が、窓から差し込んでいた
机の上にはいつもの勉強道具や、お気に入りの本が山積みにあった

カレンダーを見る、
普通だ。

携帯電話をチェックする
メールが2通来ている。
誰だろう。
小野寺さんからだ、もう片方は・・・

啓太だ。
何て書いてあるんだろう。

『今日昼んとき話したことだけどさ、あの後、気になって
母さんから聞いたんだけど。あの場所。ヤバイらしいよ。
明日、話したいことがある。
時間、ある?』

啓太はケータイ依存症だ。
新しい機種には目が無く、すぐに買い換える
バイトをしては、携帯電話に金をつぎ込んでる
そんな啓太を僕はバカみたいだ、と思い罵っていた

絵文字もいっぱい使って、女みたいだと思っていた

携帯電話は人にものを伝える手段だ、っていうのを忘れていると思っていた
でも今は違う、
こいつは何かを知ってしまったらしい。

メールなんかじゃ伝えられない、「何か」を。

僕はすかさずメールに返事を送る
メールって嫌いだ。
一文字一文字、めんどうくさい。
本当はいらなかったけど、無いと何かと不便だから、っと母さんが買ってくれた

「分かった。今日、11時に駅前のマックでいい?」

送信・・・っと。
何があったんだろう。
あの場所に、啓太に、ホタルに。

♪〜〜〜〜携帯電話の着信音が鳴る。
啓太からの返事のメールだ。

『ああ、じゃあ、また後で会おう。
淳平も呼んだほうがいいかな?』

「いや、わざわざ知らせる必要無いよ。
知らない方が良いってこともあるだろうし。
そのことは後でまた話そう。」

「そうだな、じゃあ、また2時間後。」

珍しく、啓太のメールに絵文字がない。
いつもとは違う。そんな雰囲気が漂っていた

蒼白く、少し肌寒い、そんな夜のような空気が、
もう僕の鼻の頭の辺りを掠めているのにまだ、誰も気づいていなかった



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