スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
スピッツ歌詞TOPオリジナル小説夜を駆ける2TOP>夜を駆ける_01

夜を駆ける2  [作者:あつこ]

■1

時計の針が1時をさす

窓の外を少しだけ覗くと、どこにも灯りは点いていない
みんなが寝静まった真夜中

少しだけ眠い僕のカラダに濃いコーヒーをぶちこむ
あと、2時間はいけるな、と勝手に推測してまた、机に向かう

シャーペンの芯が折れる
入れ替えて、またコーヒーを一口飲む
時計の秒針の音が、少しずつ夜を刻む

参考書と、計算でビッシリと埋まった青いノートを机に放り投げて
ベッドに向かい、寝転がる
疲れた、
勉強しかしてないのにこんなに疲れるなんて。

真っ暗の闇の中、机に向かうのも飽きた
部屋を出て、台所に向かう
小腹がへったな、何か食べたい。
冷蔵庫を覗く 何も入ってない
戸棚を開ける 何もねえや
あっ、飴がある
オレンジ味と、ぶどうと、桃のあじ 飴なんか舐めても腹はたまらない
しょうがねえ、気分転換がてらコンビニでも行くかな、と一人で決意する

財布は持った、鍵もかけておこう。
母さん、父さん。よし、起きてない
妹も、うん大丈夫。 寝てる寝てる
ここで起きられちゃたまらないしな。

こっそり靴を履いて、鍵もかけて、夜の街へ繰り出す
昼間より涼しくって過ごしやすい、なんて思いながらコンビニへ足を運ぶ

時間は、あー携帯忘れちゃった。1時半ぐらいかな。

黒いベールに覆われたいつもとは違う町並み
コンクリートの舗装された道を一人、歩く
風が気持ちいい
イヤなこと、全部忘れられそう。

透明の風を渡って、星を、空を見ながらゆっくりと歩く
『立ち入り禁止』の札がかかった薄汚い工事現場風のところ。
ぼうぼうに生えた草とか、中途半端な鉄筋とか置いてある
知らない間にこんなの出来てたんだ。
最近こっち来なかったからなぁ、小学生のころはこんな柵とか
下からくぐったり、上から登ったりして遊んだよなぁ。

今でも、出来るかな?
フッとそんな思いが頭を過ぎる
判断をする前に、体が動いていた



↓目次

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】【14】【15】【16】【17】【18】【19】【20】
【21】【22】【23】【24】【25】【26】【27】【28】【29】【30】【31】【32】【33】【34】