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夜を駆ける2  [作者:あつこ]

■13

後ろから眩しい朝の光を感じる。
最後に一目、ホタルを見たい・・・・と思い後ろを振り向く

フェンスと、コンクリートの地面と。
誰も居ない。
「ホタ・・・・ル?」

朝の風が僕をなびかせる
さっきまで、ここに立っていたのに ホタル・・・?

そうだ、ホタルは足が速い
きっと、どこかへ走っていったんだ
そうに決まってる。
それ以外、ありえないじゃないか。

僕は、フェンスに背を向け、家路を急ぐ

不思議に足取りが軽い
一睡もしてないのに。ずっと走っていたというのに。

もしかしたら、僕は空でも飛んでいたんじゃないか?
だからこんなに足取りが軽いんじゃないだろうか?

そうか、空を飛んでたんだったら納得が行く。
そっか、宙を舞っていたんだ。宵の蛍のように

一人で勝手に納得してコンクリートの地面を踏みしめる

ゆっくりと一歩ずつ歩く
さっきみたいに・・・走れるような気がして今度は走り出す

ホタルのようには走れないかもしれないけど、自分なりに頑張って走ってみる
息切れがする、足が疲れる。
でも、眠くない 体は元気だ

靴ひもを締めなおして、走り出した


朝陽を浴びながら
朝陽にまみれながら

ゆっくりと、同じリズムで
家路を・・・・





そこから、先のことは覚えてない
覚えてるのは、ホタルを抱きしめたときの感触と、あの肌の冷たさだけ。



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