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夜を駆ける2  [作者:あつこ]

■15

セミが鳴いている 大地の上に立つ僕に鳴き声が降り注ぐ
僕は、ホタルのように宙を舞うコトは出来ず、
ただただ這いつくばって、地面を踏みしめる

本屋に入るときはもう、背中は軽く汗を掻いていて
店内のクーラーが気持ちいい

「暑っ・・・」と思わず呟く

額に汗をかいている、前髪が気持ち悪い
うだうだ言ってられない、夏なんだから。


欲しかった本を手に取り、レジへ並ぶ
財布を出して、お金を払う


「あれっ?和馬?」

振り返ると、啓太が居た

「啓太じゃん!懐かしいなぁ。」
「元気してる?和馬。」
「おう、そっちは?彼女出来た?」
「出来ねえよ、俺なんてさぁ。」

懐かしい感じがする、久しぶりの友達はこれだからたまらない

「なぁ・・・あのさ、肝試ししたの。覚えてる?」
僕が啓太に聞いてみると啓太はニコッと笑う、
「覚えてるよ、あのおまえんちの近くの工事現場だろ?」

「あの時、何があったのかお前、覚えてる?」

「あそこさ、あの工事現場。入ったらさぁすげえ気持ち悪いの。
夏だっていうのにさぁ、異様に涼しいの、

フェンスから先は別世界っていうの?なんか、あそこ絶対やばいって。
光とかぼんやり見えてさあ、「人魂だーーーー!」って。

めっちゃビビッて、始まって20分もしないうちにみんな冷や汗でダラダラ
俺さ、あそこにネックレス落としちゃって、兄貴のなんだけど。
怖くて取りに行けねーし、兄貴には怒られるし。
最悪だって、マジで。」

少し、僕も思い出し、啓太に合わせている
「んなこともあったよな、お前の兄貴元気?てか名前なんだっけ。」
僕も軽いノリで啓太に話す
「あー俺が啓太、で。兄貴が裕太。いい名前だろ。」
「んーま、普通じゃん?」

その後、僕らは別れを告げて僕はまっすぐ家に帰った



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