SUGINAMI MELODY [作者:あつこ]
■ 4
とにかく、彼のぬくもりを求めて、私は現実世界で、夢の中で
彷徨い続ける。
彷徨った先には彼が居るのか、と言われたら縦にうなずくことは難しい
でも、私が彼のことを覚えてなければ他に誰が覚えていてあげるの?
彼は、あまり友達が多い方じゃ無いし、
彼の家族はなんか、複雑らしいし、
彼を私が覚えてなければ、彼は忘れられてしまう
忘れられる、ということは存在がなくなる、ということであり
存在がなくなる、という事は社会から必要とされない、という事だと私は思う
だから、私が彼を覚えていてあげて、
もし彼が帰ってきて社会から必要とされなかったとしても
私が彼を必要としていてあげたい。
圭ちゃんが好きだった、私が作るホットケーキも、ブリと大根の煮物も、
もっと美味しく作れるようになっておいて
彼を喜ばせてあげたい
アイロンをかけるのも上手になったのよ、
これでいつでも彼のシャツをアイロンかけられる
前髪だって上手に切れるようになったの、
伸びた前髪は私が切ってあげるから。
もう、斜めに切っちゃったりして困らせないから
だから、
早く帰ってきて。
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