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SUGINAMI MELODY [作者:あつこ]

■ 6

別に、ホームレスって何とも思わないんだけど、
やっぱりちょっと汚いな、とか嫌だな、って思ってしまう
差別っちゃあ差別だし、偏見でもある。

だって・・・汚いんだもの。怖いもの。
圭ちゃんだったらこんな時、どう思うんだろう

彼は誰にでも親切で、あたたかい心を持っていた
私は、なんて汚いのだろう。
圭ちゃんに出会ってからよくそう思うようになった
あの真っ白な心で、瞳を見ると責められてるような気持ちになる

最近、私の朝のジョギング途中のベンチに、
トレンチコートを着た知らない人が座っている
あの人は、ホームレスなのだろうか?
ちょっと近寄りがたい。

でも、あの人が背負っている「影」の部分は誰かに似ている。
いつも、下を向いてるからよく顔は見たことないけれど、
誰かを思い出す。




そうか、圭ちゃんだ。
あの人、圭ちゃんに似ているんだ。

あの人はいつもノラ猫とじゃれている
いつもあの人の周りには生き物が近寄ってくる

猫、犬、鳩、小鳥、昆虫、カラス。

あの人はそのどれもを受け止めているらしく、
好き嫌い言わずに可愛がって頭を撫でて声をかける

でも、圭ちゃんに似てるって思い始めた日から
その人がちょっと好きになった
汚いかっこでも、ぼろぼろの髪の毛でもなんだか素敵に見えてくる

単純でしょ。
ね?圭ちゃん。

そのくらい、私の生活には圭ちゃんが必要なの。
でも分かってるって、

いい加減、自立しろって言いたいんでしょ。

圭ちゃん、


バカで、だめな私でごめんね。



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