小さな街の中で [作者:たぬき]
■第8話 [2/2]
その頃。光琳学園とは別の場所。
小さなオフィスの中で、瞳が働いている。ポニーテールに髪を結わえていて、スーツ姿だ。
ノートパソコンに集中しているように見える。
(あー、めんどくさい。お腹空いた)
実際はそこまで集中していなかった。
「瞳さん瞳さん」
小さな声で、隣のデスクの女性が瞳に話しかけた。
「どーしたの?奈々ちゃん」
奈々ちゃんこと青田奈々は、瞳の仕事仲間で、まだ二十台半ばの若い後輩だ。
「今日は飲みに行きましょ?すごくおいしい焼き鳥屋、見つけたんですよ〜」
光琳学園の2-4教室内で起こった話題と良く似ている話だった。
「…うーん、でも娘もいるしさぁ」
「あれ?瞳さん独身ですよね?」
「今はね。でも昔は結婚してたわ」
「そーだったんですか?知らなかった」
「まぁ話してなかったからねぇ」
「じゃあその話、焼き鳥食べながら聞かせてくださいよ〜。ビールもおいしいですよ」
「だから、子供がいるから…」
「いくつですか?」
「中二だけど…まだ料理作れないからさ。おなかが空くとすぐ不機嫌になるし」
「ん〜。じゃあまた今度、ですかね」
会話は終わり、二人とも仕事を再開する。
↓目次
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