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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第8話 [1/2]

(優しいんだなぁ〜…)

真希と歩きながら真生は思った。6時間目の理科も終わって、教室に帰っている途中だった。

美里が休み始めてから三日目。真希は移動教室、昼食のときは、いつも真生を誘ってくれた。
確実に真生に気を遣って話しかけてくれている。真生はその優しさに心の中で感謝していた。
「真生ちゃんって、頭良いよね!私、電流とか苦手だからさ」
「え?あ、そー…かな。たまたま当たったんだよ」
「そーだ!今度、勉強教えてよ!」
「いいけど」
和やかな会話をしながら、真生は楽しそうに歩いている。

しかし、一人だけそれを良く思わない人がいた。
浩樹だ。
真希がいつも真生と一緒だから、三日間真生と喋れずにいた。
美里なら大丈夫だが、真希が一緒だと、どうにも話しかけれない。
しかも、工藤咲がそれをいいことに、浩樹に執拗に話しかけてくる。
「ねぇねぇ浩樹君!今日の理科面白かったね!」
「…うん」
「あのさ、今日は一緒に帰らない?すごくおいしいケーキ屋さん見つけたのよ」
「…そっかー。でもオレ、用事あるから」
「えー?なんでー?いいじゃない」
「…良くないのさー大切な用事だからー」
「えー??何ー?その用事って?ついて行っちゃダメなの?」
「…君には関係ないから…」
「えー!?ヒドーイ!!そんなに照れなくても…」
(早く復帰してくれよ、美里さん!!!!!)
心の中で精一杯叫んだ。所詮心の中なので、誰にも届かない。

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