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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第5話 [2/2]

「じゃ、ご馳走様でした〜。真生、じゃあ学校でな」

優一が帰った後も、真生はイライラしていた。
「母さん。本当に先生とは幼馴染なの?」
ふいに、真生が尋ねた。
「…なんで?」
「なんかさ、会話中、ときどき二人ともぎこちないかんじだったから。」
――すごい洞察力。
図星だった。
「幼馴染だけど、本当ならあんなふうに喋ることは無いんじゃないかって思ってた」
しみじみと瞳はつぶやく。
「こう見えても母さん、いろいろあったのよ。昔、ね」
「?なによ?」
しばらく瞳は黙る。シーンとした空気が漂っていた。
「…なんでもない!いつか話すわ。母さんもう寝るから。おやすみ」
早口でまくしたて、瞳はさっさと寝室に入っていった。
「…なんなのよ」
真生もやることが無くって、結局部屋に入って寝た。


一方、104号室、優一は真剣な表情で写真を眺めていた。
――またあの頃に戻れるのか?
まだ学ランの優一と、ショートカットで制服姿の瞳。
――戻って、また……オレは……
忘れたい記憶が、頭を駆け巡って離れてくれない。

「なぁ、孝太ぁ。お前は…」

写真を抱きしめたまま、優一は眠りに落ちた。

ハムスターの小太郎君はゲージの中を元気に走り回っていた。

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