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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第1話 [2/2]

  水谷真生は中学二年生の13歳。母に似ているが、少しキツめの目に、短めの髪。
活発で、スポーツ万能、成績優秀。もっとも、今は布団のなかでグッスリだが。
「真〜生〜〜。」
瞳が肩を少し揺らして起こしていると、
「ん〜……。」
返事が返ってきた。返事だけだった。
「真生!占い終わるよ!…あ〜、8時キッカリ。終わった。」
瞳は時計を見ながらつぶやいた。
占いは7時55分から8時ジャストまで。ちなみに今の時間は本当は7時40分。
余裕である。しかし、
「え?!ちょっと母さん!!なんで起こしてくれなかったのよ!」
真生は飛び起きた。しかし母は、
「だから起こしたのよ。今7時40分。」
「へ?…本当だ。」
「ったく。大体占い信じてないと言うくせに、なんで占い欠かさず見るかね」
瞳は娘に疑問をぶつけた。

普段ゴールデンタイムの占い番組を見ているとき、真生は
「あー。バカらしい。」
と言ってさっさと風呂に入ってしまう。

が、
「朝の占いは、1位だと気分良くなるじゃない?」
そういって子供部屋を出て行った。
瞳も子供部屋を出て、キッチンへ向かった。

真生は朝食のフレンチトーストを食べながら、テレビを見ている。
「あ…。」
真生は食べる手を止めた。占いは最下位だった。


あー、今日はやる気が出ない、もう一回寝ようかなあ、と真生がぼやいているころ。
「終わった。ふう…」
アパートの1階――104号室では、男が一人、フローリングの上で大の字になって寝転がっている。
目鼻立ちがはっきりしているが、寝不足からか、目元にクマがうっすらとある。
身長は男の人の平均より少し高い。短すぎもせず、長すぎもしない髪の毛。
部屋にはそこらじゅうに空ダンボールが転がっていて、ダンボールには『割れ物注意』やら何やらが書いてある。
男はゆっくりと立ち上がると、
「小太郎〜」
部屋の片隅のゲージへ歩いていった。ゲージの中には『小太郎』君――ジャンガリアンハムスターがちょこちょこ歩いていた。

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