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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第10話 [2/2]

20分前。
優一が水谷家に入る様子を、見ている人がいた。
制服は光琳学園のもので、女子だ。
ポケットから携帯を出した。
『今日の様子から見て、仮説はだいたい当たってると思う。分かりやすくて、おもしろかった』
『そう…。良かった』
『それから今、担任があのコのアパートに入った』
『それにしてもアンタ、すごいわね。この短期間でこんなに調べ上げて』
『いや、逆に調べやすかった。最初はネットでたまたま見つけたわけだし。担任は、どうする?』
『あいつはいい。下手に手を出すと、いろんな子に恨まれるだろうし』
それからまた、ボソボソと話し込んで、携帯をまたポケットにしまった。


アパートの303号室では、異様な張り詰めた空気がながれていた。
「お父さんのことと、火事のこと」
真生の口元は、何故か微笑んでいた。
「火事…お前は当時、3歳、だろ?」
「はい」
「なぜ、今になって知りたがる?終わった話だぞ」
「…」
今度は真生が、時計に目をやった。というよりは、時計のある方に目をやった。
「…終わってないんです」
「?」
「小6のとき、同じクラスの保護者の一部に、バレたんです。だから、ココに引っ越して来ました
  まぁそのことも、よく聞かされないまま『転校することになった』とか言われましたけど」
真生は自嘲気味に笑う。
「どうして、お父さんは、私たちの家に、火をつけたんですか?」

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