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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第2話 [1/3]

  光琳学校の女子の制服は、可愛いとのことで人気がある。その制服を着た中等部の新一年生が
学校の敷地内にがやがやと入ってくる。入学式も終えて、少し慣れた表情だ。
  その中にまぎれて、水谷真生も歩いていた。ふと立ち止まり、
「キレイだなぁ」
校門のあたりに植えられた満開の桜を見上げてつぶやいた。しばらく見ていたが、また歩き始めた。
その背後から、他の女子生徒――真生の友達である工藤美里が声をかけた。

「おっはよう真生!」
「ああ、おはよー。」
「今日は楽な時間割でいいわよね〜。」
「まぁ新入生を迎える会と学級会だけだからね。楽でいいわな。」
「それにしても、本当に真生と同じクラスでよかったわ〜。」
「…どーせ宿題写させろって言うんでしょ」
「それだけじゃないわよ」
「?」
「時間割忘れたときとか、聞けるじゃん。」
「………。そーいえば、担任誰だっけ、ウチのクラスは。」
「新しく来た人よ。え〜っと………名前忘れたけど。…顔も思い出せない」
「バカ。ま、今日紹介あるからいいけど。」
「あんたも思い出せなかったくせに〜〜あんたもバカだろ〜〜!」
「あたしは入学式の、担任紹介のときなんてすでにグッスリだったもん。知るわけがない」
「いばってゆーな!!」



新入生を迎える会も終わって、早々と自分たちの教室――2-4に帰った真生は
「あ〜、3時間目はたぶん自己紹介かなぁ〜。めんどくさ」
一人でブツクサ言っていた。
「ねぇねぇ真生、さっきウワサの担任見かけたんだけどさぁ、」
そんな真生に、また美里が話しかける。が、
「もうすぐ先生来るだろうから、いいよ教えてくれなくて」
返事はつれない。それでも美里はあきらめず、
「え〜、ちょっとくらい…」
「あ、来た」
結局会話は閉ざされる。

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