スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
スピッツ歌詞TOPオリジナル小説小さな街の中でTOP>第6話[3/4]

小さな街の中で [作者:たぬき]

■第6話 [3/4]

「ずるい!!!!」
放課後、美里の声が誰もいない教室に鳴り響く。
真生は、さもうるさそうに耳をふさぐ。

この日は珍しく部活はオフで、折角だから少し話してから帰ろうと、美里が真生を誘った。
そして真生が、「あ、そういえば…」と今日の昼休みに起こったことを話した。
それを聞いた美里が、ワナワナと震えて叫んだ。
しかし、その口元は怒ってはいなかった。

「で?で?助けられた後どうしたの?」
「…あの」
「?」
「なんで嬉しそうなのさ。怒るんじゃないかと思った」
「…だぁってぇ〜。工藤咲、超いい気味って感じだし、それに…」
「…なによ」
「ホントにあたし、浩樹君と真生ってお似合いだと思うのよ。付き合っちゃいなよ」
「はぁ?!なんであたしがあんな…!!!」
真生は思わず眉をしかめる。
「ハイハイ話をそらさな〜い。助けられた、あ・と・は?」
「ふ、普通に、教室に帰ったわよ…」

思わず、顔を赤らめながら話す真生。そんな真生を見ながら、ワクワクした表情で見つめる美里。
少し頭を掻いて、真生は立ち上がる。

「あ、あたしもう帰るから。お腹空いたし、急がないと!」
「別に急用があるわけでも無いのに急ぐんだ」
「そーゆーわけだから、バイバイ!!」
早口でまくしたて、教室から走り去る真生。なぜか逃げ出したくなった。
(お似合いぃ?)
顔を真っ赤にしながら、走る真生。
(まだ中二のガキンチョなんだぞうちらは!!)
夕暮れの中を、一生懸命走って帰った。

↓目次

【第1話】 0102→ 【第2話】 030405→【第3話】0607→【第4話】0809→【第5話】1011→【第6話】12131415
→【第7話】 1617→【第8話】1819→【第9話】2021→【第10話】2223