小さな街の中で [作者:たぬき]
■第1話 [1/2]
今日もこの街の付近は晴れ模様だ。緑が目立つ街の中には、澄んだ河が流れている。
その河に架けてある橋を渡れば、敷地が広い、光琳(こうりん)学校の中等部、高等部があり、
それぞれのグラウンドにテニスコート、プールがある。今日は休日なので、人の気配はない。
橋の反対側には、赤い外壁のアパートが並ぶ。建てたばかりなので、
周りの緑の景色からは少しばかり浮いて見えるが、ここあたりの人々の目にはもう慣れている。
そのアパートの三階の部屋――303号室から、背が高めの女性が出てきた。
寝起きなのか、長めの髪の毛はボサボサで、大きな目は半開き。服装はパジャマに半纏(はんてん)を羽織っている。
女性はあくびをしながら背伸びをし、「はぁ。」と一息ついて、ポストの新聞を抜き取り――部屋のなかへ消えた。
部屋の中は片付いていた。テーブルにイスは二つあり、その下には絨毯が
敷いてある。女性は新聞をテーブルに置いて、座ろうと思ってイスを引いた。
が、
「あ。」
座らずに一人でつぶやいた。
「真生を起こさなきゃ。」
水谷瞳は38歳で、長く、キレイな髪を、普段は頭の上でだんごにして結っている。
一度結婚をして、娘も生まれたが、娘が3歳のときに離婚。今はその子と二人暮らしだ。
スラリと背は高く、容姿は年齢を感じさせないほど整っていて、一言で言えば美人。
いつもはこの時間は仕事に行くが、今日は娘である真生を起こしに子供部屋へ急いだ。
「真〜生〜。起きなさーい。朝の占い見るんでしょぉー?」
↓目次
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↓キャラ原案【瞳】
↓キャラ原案【真生】
↓キャラ原案【優一】
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