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小さな街の中で [作者:たぬき]

■第9話 [1/2]

美里が休み始めて4日目の放課後。
真生は、真希と話していた。

「真生ちゃんってなんとなく、謎に包まれてるよね」
「えっ?な、なんで?」
「いや、なんか真生ちゃん、自分の事、話したがらないっていうか…」
「そーかな?」
「なんか話してよ、家族の事とかさ」

真希は、いたって普通の表情で質問していた。
真生は表情を変えずに動揺していた。
私生活について、さぐりを入れてほしくなかったのだ。
それは美里も、浩樹も、暗黙の了解という感じで分かっているようで、
家族について聞いてくることは今まで無かった。
そしてなぜ、今更そんなこと真希が聞きたがるのか、真生には見当がつかなかった。

「なんかって、言われても…」
真生はボソっとつぶやくように言った。
「え?あ、ゴメン!話したくないような事だったら、その…」
真希も、真生の歯切れの悪い様子を見て、すこし慌てた様子を見せた。
真生もフォローするように、
「あ、イヤイヤ。話すようなことでも無いかなって思ってたから…」
「ご、ごめんね、真生ちゃん」
その後、話すことも無くなり、気まずい雰囲気が流れる。
「あ、そろそろ、帰るわ」
真生は逃げるように帰路に着く。

真生は家族の事は話したくなかった。
母親の事なら、話して困る事はないのだが、母親の事を話すと、必ず話さなくてはならなくなるのだ。

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