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唄う旅人  [作者:水月侑子]

■第2話 ノラ・ロイ(4/7)

 今度はダッシュをして、垂直に飛んだ。それも5メートルぐらい。タビビトは別に驚くこともなく、ノラを見ていた。
ノラはサーベルを両手で持ってタビビトに向かって振り下ろそうとした。すると、タビビトは扇子を開いて投げた。
扇子はノラの持っているサーベルに当たり、ノラはサーベルを離してしまった。
持ち主のいなくなったサーベルはアリィに向かったが、とっさにディーンがサーベルを取ったのでアリィは無事だった。
  タビビトは扇子を手の内に納めると、着地したノラとの距離を縮めて、ノラの顔を殴った。ノラは思い切り後ろに吹き飛ばされた。

「た・・・・・・タビビトさん?」

 やっと言葉が出たアリィは信じられないという目でタビビトを見ていた。

「こいつは俺の前に現れてはよくちょっかいをかけてくる小僧だ」
 
  タビビトはノラの身体を起こし、額をこづいた。

「ちょっかいじゃねぇ、倒しにきてんだよ!!」

「その割には弱いな」

 タビビトは陽気な笑い声で笑う。ノラの顔がますます赤くなる。
ディーンはノラのサーベルを物珍しそうに眺めていた。ノラはディーンを睨んだ。

「俺のサーベルを返せ」

「やだね」

 とディーン。サーベルを強く抱えて、絶対に返さないぞ!と言わんばかりだ。

「それでまた襲われたら叶わんのう」

 といつの間にか埴輪になっているクレイ。

「クレイ、肉・・・・・・」

 タビビトはアリィの足元に転がっている切りかけの肉を指して言った。

「あっ、いけない。クレイってばいきなり人形みたいにならないでよー。お肉もったいないじゃん!」


↓目次

第1話 【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】
第2話 【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】
第3話 【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】