スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
スピッツ歌詞TOPオリジナル小説唄う旅人TOP>唄う旅人_12

唄う旅人  [作者:水月侑子]

■第2話 ノラ・ロイ(5/7)

 アリィはクレイの頭を掴みぐしゃぐしゃにした。クレイはアリィにぐしゃぐしゃにされながらまな板になった。
タビビトは肉を拾って、ノラに視線をやる。

「これ、洗ってくれないか?」

 ノラは始め、呆気にとられた表情だったが、状況が分かると、みるみる顔が赤くなった。

「なっ、なんで俺がそんなこと」

「水を操るガダネス人の血を少し引いているお前なら出来るだろ」

 ディーンはノラの横でつぶやいた。

「・・・・・・それ、俺にもくれるんだったらやる」

 ノラは半分諦めた表情だった。タビビトはにやりと笑って、

「いいよ。ノラも長旅で疲れたようだし」

 と言い、ノラに土と泥にまみれた肉を渡した。ノラは手のひらに肉を乗せた。
肉はノラの手からはみ出して、だらんと垂れている。ノラは目を閉じて、意識を集中させた。
すると、手に乗っている肉は水に包まれ、見えなくなった。肉が姿を現すと土や泥は綺麗に洗い流されていた。
アリィはそれをぽかんと口をあけて見ていた。

「ほら」

 ノラはタビビトに肉を渡した。タビビトはノラに礼を言うと早速、料理にとりかかった。ディーンは横目でノラを見ると、サーベルを投げて返した。

「ノラって人もガダネス人? 」

  アリィは恐る恐るディーンに聞いた。


↓目次

第1話 【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】
第2話 【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】
第3話 【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】