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スパイダー2 [作者:あつこ]

■17

「僕が好きなのは今井さんだよ」・・・
そう言った時の今井さんの眼が、眼差しが忘れられず
僕は、帰ってからも一人、ベッドに横たわっていた

僕は、言ってはいけない一言を言ってしまったのだ。
45分のリズムを狂わす、重く、生ぬるい愛のことば。
彼女を幸せにしたいのなら、こんなこと言うもんじゃない
幸せにするはずが・・・
僕の一言で困らせている

枕に顔を押し付けて、僕は声を出さないようにして、泣いた
今日は塾が無いのを幸いに、泣き続けた。

起きたら、目は真っ赤にはれていて、顔をサッと洗って目薬を点して
それから・・・夕飯食べたり、テレビを見たり、普通に過ごした
でも、寝る時またベッドに入ると、涙が溢れてきた

今ごろ、今井さんは何をしているのだろう?
何を考えてるの?何を思って、誰を見つめてるんだろう?
僕は・・・泣いてる。君を思って
今井さんも僕みたいに、
大好きな誰かを思いながら、一人で泣き過ごす夜があるのだろうか?
僕みたいに。
声を押し殺して、ひっそりと月とか眺めながら
一人で泣いたり、叶わぬ恋の相手を思いながら
小さな声で優しい恋の歌を唄ったりするのだろうか?

この空の下で、僕と同じように恋が原因で泣いてる人が
どれだけいるのだろうか?
僕の部屋の小さなベランダから、星が見えた
小さい、たいして目立った星じゃないけれど、綺麗だったから
ベランダに出たら、
やっぱり小さくって、でも・・・綺麗で。
また一つ、涙がこぼれた

火照った体が、夜の冷たい風に包まれ少し冷えたから、
また部屋へ戻って、一日の終わりの時を過ごした。
明日は、どうなるのかなんて考えたく無かった


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