スパイダー2 [作者:あつこ]
■4
『あの・・・』
彼女の不安げな小さな声が聞こえた
「えっ?あっ、あぁ・・・」
『3組の、高木君でしょ?』
「あ、うん。えっと5組の今井さん?」
『うん…今井絵理奈です高木峻君、』
そう言った彼女の顔は少し赤くなって可愛かった
「ピアノ、いつも弾いているよね?」
『…うん、まさか聞いていた?』
上目づかいになった彼女をどうしても抱きしめたくなった、
でも必死に理性で抑えていた。バカみたいだろ。
「聞いてた、何の曲かなってずっと思ってたんだ」
『ピアノ、好きなの?』
彼女が、今井さんがちょっと緊張がほぐれたかの様にして言った
僕はピアノなんて触ったことも弾いたこともない
でも、彼女に近づきたかった
「いや、違うけど…あんまり上手なんで思わず。」
『そぅ・・・あ、時間だよ、次の授業遅れるよ』
時計の針をみるとあと2分、2分だけなら次の授業に遅れてでも
彼女と話していたい。でも。
「そうだね、次、美術だから急がなきゃ」
と言って僕等は音楽室を出た。
情けないなぁ・・・自分。
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