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スパイダー2 [作者:あつこ]

■5

あの寂しげな笑顔が、頭から離れない

≪エリックサティのジムノぺティ≫
君にはこの曲がよく似合う、悲しげで繊細で。
誰も居ない雨の日の水族館みたいな、
喫茶店でみた雨上がりの空みたいな、
優しい、優しい、きれいな水色。
透き通っていて、何にも染まらず、
何にも汚れず

僕はそんな事考えながら、レンタルCD屋のクラシックコーナーに
立っていたのに気づいた。
しっかりとよく自分の手を見たら僕は
≪エリックサティ≫のCDを持っていた
ヤバイな、記憶が無い。
もうあの昼休みから7時間もたっているっていうのに
僕は知らない間に学校や、部活を終わらせてここに来たらしい、
えっと、美術では確か先週の続きの絵を描いたんだよな?
部活では遼がシュートをバンバン入れていて・・・
あれ?それから。
それから。。。。
まさか、ずっと彼女のコト考えてた?
神様にそうやって突っこまれそうになった

借りたCDから流れるピアノの音は
やっぱりあの音楽室のピアノとは違って狂ってなく、とてもキレイなんだけど
弾く人もプロの名前も知らないピアニストで
でも、写真がデカデカと載っているから有名な人なんだろう
だけどやっぱり、彼女のあの音色の方が美しかった
とても澄んでいて、ただ、ただ美しかった

他の曲も聞いたけどやっぱり≪ジムノぺティ≫の旋律が僕には合ってるようだ



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