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スパイダー2 [作者:あつこ]

■10

春、中2になりたてのころ。
クラスに馴染めなくって、休み時間が嫌いで、
昼休みには毎日、この場所に来てた
階段を降りて、上って、ここの第二音楽室。
ここなら、普段誰も通らないし、めったに授業としても
使われない。
たまに、知らない女の子達がたむろって話してるくらぃ
ここなら誰にも何も言われないで、大好きなピアノを弾ける・・・

ウチにもピアノはあるけど、パパが「うるさい」って言って
私を叩く、
ママもそんなパパを止めてくれない、
まだ小さい、たったの4歳の妹には、心配かけられない
だからピアノは弾かない・・・
家は、私にとって不自由以外に何も無かった
でも、この第二音楽室なら好きなだけ弾ける。
私の敬愛する、「エリック・サティ」
あの人は、ピアノを自由に弾いてたんだろうな。
私の生きる意味、たぶんこの休み時間の45分なんだと思う
生き生きと、≪con anima≫
気持ちを込めて≪spiritoso≫。。。

生きる意味を見つけて、幸せに浸る毎日を
私はこの寂れた音楽室で見つけられた。
これさえ出来ればもう命なんていらない、死んでも良い・・・

6月の、中旬に私は隣のクラスの男の子に呼び出された
イジメ?生意気とか言われて、ぶたれたらどうしよう、
・・・パパみたいに。
行き着くとイジメでも、リンチでも無かった
隣のクラスの、顔と名前が一致しないような男の子が
顔を赤らめて下を向いて、私を待っていてくれた
「あの、」
ビクッとその男の子は目を丸めて私を見た
浅黒い、焼けた肌に白い歯、私より少し背の高い男のこ。
名前は、大野遼くん。
何部なんだろう?
肌から見て、テニス部かな?サッカーかも。もしかしてバスケとか。
「話って、何?」
まだ何も気づいて無い私に、その男の子は恥ずかしそうにして言った
「実は、・・・」

風が吹き、その時、季節の始まりと終わりを見たような気がした



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