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スパイダー2 [作者:あつこ]

■9

「今朝、なんで・・・」
僕がそう言おうとして、顔をあげて彼女を見ようとしたら
今井さんの目に、涙が溢れているように見えた
気のせい?分からないけど僕は考えるヒマもなく
思わず言ってしまった

「なんで、そんないつも泣きそうな目をしてピアノを弾いてるの?」

気づかれた、とでも言うように彼女は
「バレちゃた」とか言うようにしてまた、窓を背にして
こっちに振り向いた
「これ、思い出の曲なの。」
今井さんがピアノに近づいて、≪ジムノぺティ≫のメロディだけを
右手で簡単に弾き始めた

鳴り響く鍵盤、
広くって散らかってる音楽室、
雨上がりの空に、ジムノぺティ。
それらは全て、今井さんの右手の動きによって生かされてるように
僕は感じた。

今井さんの思い出、・・・遼との?
遼が今井さんにこんな思いをさせたの?
なんで、そんなに悲しい顔をするの?

「思い出って・・・どんな?」
僕が聞くと今井さんはニコッと口もとだけ笑って
ピアノの椅子にまた座って話し始めた



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