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胸に咲いた黄色い花 [作者:えり]■18 「おいしい?」
はやく感想が聞きたくて、まだ一口しか食べてない亜紀の顔を覗き込む。
「うん」 そういって、亜紀は、優しく笑った。 その言葉もうれしかったが、何よりこの笑顔に、胸がぎゅうっと締め付けられた。 俺って、重症だ。胸の中でつぶやく。
「何でいきなり、ご飯作ったりしたの?」
「え。まあ・・・」
亜紀の突然の質問に、言葉が詰まった。 少しぐらい頼りになるとこを見せたいから。なんて。 恥ずかしくて、口が裂けてもいえない。
「ま、俺もそろそろこれくらいはできとかなきゃね。」
もう、二十歳すぎてるしな。と自分に突っ込みを入れる。 しかし、亜紀は納得いかない、といった顔つきだ。 そのまま黙って、もくもくとカレーを食べ続ける。 俺はその顔をいぶかしげに見つめた。
なんだっていうんだろう。あの、さっきの焦った態度もそうだけど。 今日の亜紀はなんだかおかしい。いつもの、あのクールな亜紀じゃない気がする。
もしかしたら、俺が料理したのが気に入らないんだろうか。 俺としては、少しでも亜紀の役に立って、男らしいとこを見せてみようと思ったのだが。 やっぱり、亜紀は俺のことは、一人の男としてじゃなく、ペットのように思っているのだろうか。だから、料理なんてものを生意気にした俺に腹を立ててるのだろうか。
ペットが必要以上のことをしなくていい。ただ、私に懐いてるだけでいい。
もし、亜紀にそんなこと言われたら、いくら俺でもプライドが粉々になって撃沈するよな〜。
その場面を想像して、一人、鼻をすすった。
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