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胸に咲いた黄色い花  [作者:えり]

■16

「やっぱ暑いなー」

 

 

「な」

 

 

なおと二人で商店街のとおりをぶらぶらと歩く。

まだ二十歳前後の男が二人で散歩なんて、何やってんだか。

と思いつつも、これがなかなか気持ちよかった。

 

 

やっぱたまには体動かさないと。

と言った尚は、俺を唐突に散歩に連れ出した。

 

最初は嫌がってたけど、してみるとこれがなかなか、さわやかである。

もうかれこれ 30 分もこの状態で、もうそろそろ亜紀と俺の住まいに帰ろうかとしている途中だ。

 

「やっぱこーゆー散歩はいいな。やっぱ清って、毎日家だし、体なまってんだろ?」

 

「まーな。つっても、時々は短期の日雇いのバイトしたりするし、ジムにもいくからそーでもないけど。」

 

そう。俺は時々は働いたりする。

まあ、制限があるから、本当時々だけど。まあ、適当な小遣い稼ぎだ。

 

尚は驚いた顔でこちらをみた。

 

「まじ?!時々働いてるのは知ってたけど、ジムか!あっ、なあなあ!そこ、かわいい子いる?!」

 

 

そんな尚を呆れ顔で見る。

 

「お前はすぐそれだな。ジムなんか、ほとんど男ばっかだよ。」

 

ま、わざとそうゆうとこ選んだんだけど。

一応、そうゆうとこはこだわる、亜紀思いの俺だったりする。

 

 

「そっか〜。残念。それも亜紀ちゃんのさしがね?まじ、やきもち焼きだね〜」

 

「別に亜紀のさしがねじゃねえよ。それに亜紀はやきもち焼きってか、それよりも、自分のものに対しての独占欲が強いんじゃないかな。ほら、ペットに対するみたいな・・・」

 

「何、じゃあお前ペットなの?!」

 

そういって尚はガハハと笑う。

デニカシーのないやつ。

 

「別に、そういわれたわけじゃないけどさあ」

 

そういってそっぽをむく。

もう、俺のアパートのすぐ目の前まで来ていた。

 

「まあまあ、怒るなよ。俺らってそーゆー職業ジャン?犬で結構ってもんだよ。」

 

「まあな。やっぱ、昨日のも、そうゆう感情でいったのかなー」

 

「何が?」

 

アパートの階段を二人で登る。部屋は 3 階。なかなか遠い道のりだ。

 

 

「消えないでね・・・って」

 



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