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胸に咲いた黄色い花  [作者:えり]

■6

尚と呼ばれた男は、べつにー暇だし。といいながらソファーに寝そべり、テレビをつけて見始める。
俺は、ったくといいながら、とりあえず朝ごはんにありつこうと、テーブルのイスに腰掛けた。

まあ、こんなことはよくあることだ。

尚は、その整った顔を笑いで歪めながら、テレビを見ている。
セットされてるのは19チャンネルのアニメ番組。
こいつ、本当に俺と同い年だよな?と疑いたくなった。

尚は、本名は 相沢尚也(アイザワ ナオヤ)という。
俺の小・中学生のときの同級生だ。
ちなみに、高校はどっかの工業いって中退だったかな。

昔からそのサワヤカなルックスで、いろんな女をひっかけていた。
そんな尚は俺を通じて、ひもという職業を知った。
それから俺と同じような生活をしている。
尚は、顔がキレイで、いいかげんで明るくて意外とあっさりしてて。
まさにひもにぴったりな奴だった。
だからきっと、俺に出会わなくてもきっとひもになっていたと確信できる。

尚は、番組がCMにうつった際、当番表が目に入ったようで、それを指差しながら
「これ、まだ続いてんの?」とたずねてきた。

「あー。続いてるけど、一応・・・」
やる気だけは。と心の中でつけたす。

「へーっ。でも、清(セイ)がこんなことする必要ってあんの?」

唐突な質問に、一瞬とまどう。

「え」

「別に亜紀さんに頼まれたとかじゃないんだろ?前の時は、してなかったじゃん」

前の、とは前の女の人と住んでいたときのことだ。

鋭い質問に戸惑いながらも、少し小さめのトーンで答える。

「・・・まあ、俺だって、亜紀に会うまではなことしようとか思ってなかったけど・・・」

「けど?」

「なんか、亜紀の前では、一応プライドがあって・・・役だつ男になりたいってゆーか、頼られたいってゆーか」

視線を泳がせながらつぶやく俺を横目でみながら、尚は何か確信したようにうなずく。

「ふーん。・・・清、惚れたね。てか、本気でしょ。」

 



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