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胸に咲いた黄色い花 [作者:えり] ■11 そして、いつまでもくっついていたいと思う。 きっと、私と清の傷は似ているんだと思う。だから、お互いを慰めあうことができるのだ。 それは、傷をなめあい、お互いの孤独を埋めあってるだけの関係かもしれない。 それに、彼のあの無邪気な笑顔や、行動、言動はわたしにとって麻薬のようなもので。 だから、清は私にとってなくてはならない人なのである。
だけど。
食堂の流し台にトレーを置きながら、心が痛くなるのを感じた。
私の望みとは裏腹に、私たちの関係はいつ壊れるかわからない。 清は、今までも私のような女と何人とも一緒に暮らしてきたらしい。 その瞬間、清が、気まぐれな風のように思えた。 そんなのは、いやだった。 一人でどこかにいってほしくない。 だから、私は極力、清を女性と合わせたくなかった。
持ち場に戻ったところで、ちょうど昼休み終了のチャイムが鳴る。 デスクにつき仕事をはじめようとしたとき、ふと清のあの言葉が頭によぎった。
「俺を捨てないでね」
どうして、あんなこといったんだろう。 −もしかしたら。 私の気持ちは全然伝わってないのかもしれない。と思った。 私が清を好きすぎて、独占欲の塊になってるって事。 光のついたパソコンを見つめながら、今日もまた清のことばかりを考えていた。
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