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胸に咲いた黄色い花 [作者:えり]■21 「・・・へえー」 尚は何かを考えるように、首をひねりながら階段を上っている。 そして、こちらをみながら口を開いた。
「あのさあ・・・それは、ペットとかじゃなくて・・・なあ。清。亜紀さんにとってお前って・・・」
やっと最後の階段をのぼりきる。
「え?何 ? 」
そう聞き返すのと同時に、俺は部屋の前にいる人物に気づいた。 亜紀と俺の家のドアの前に、背が高い、男が立っていた。
「え?」
そうつぶやくと、後ろにいた尚が、同じようにつぶやいた。
「あれ、誰?」
俺たちの会話がきこえたのか、男はゆっくりとこちらに振り向く。
目が合った。
ぞっとするような、冷たい目だった。 俺を、軽蔑するような目。
自然と、足が、震える。
―ああ、ついにこのときが着てしまった。
逃げたい気持ちをおさえ、男の目の前に立つと、すっと名刺がさしだされる。
「富山卓です。――亜紀の兄です」
俺の中で何かが、音を立ててガラガラと崩れていった。
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