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胸に咲いた黄色い花  [作者:えり]

■10

外見がそうなのか、内面がそうなのか、それとも、どちらも合わさってそんなイメージができたのか。それはよくわからないが、自分はよく人にクールだといわれ続けてきた。

それは、小さいころから続けられた当たり前の習慣のようなもので、だから、25年たった今、言われることに慣れてしまっていたりする。だから、どんな場面でそういわれようが、たいした反応はしないようになってきた。

ただ

本人たちがどういった意味でその言葉を使っているかわからないけど、直訳すれば、冷たい。だ。

そういわれれば、私は人より少し他人に興味がないから。だから、冷たそうに見えるのかもしれない。

 

「そうだよねー!私もあんまり想像できないな。だから、一緒に住んでるっていうのがまた・・・」

「小枝。」

叱るように、名前をよぶと、さえはマズイ。と言った顔でこちらを見た。

「え?なんですか?」
陽子は途中で切られた言葉が気になるようで、前のめりに体を出してきた。

「なんでもないの。ね、もう皆食べ終わったみたいだから、いかない?」

この話はもうここで終わりにしたい。そう思ったので、食器が置かれたトレーを両手で持ち上げ、席をずらし、立った。

 

 

−小枝は例外として、私はできる限り、清との関係を人に知られたくなかった。

それは、2人だけの世界でいたいからで、一切、私たちの間に人が入り込んでほしくないからだ。

私はいつも、不安に思っている。

清は、魅力的な風貌をしているから、いつか、人にとられるんじゃないかと。
だから、なるべく人に清の存在を知られたくなかった。
ずっと私のそばにいてほしいから。

私って、どれほど独占欲が強いんだろう。と思う。

最初に、清を見たときから、私は彼にどうしようもないほど惹かれた。

それは、彼の陰の部分に惹かれただけなのかもしれない。
けど、今まで出会ったことのないほどの、強い衝撃を受けたのは事実だ。

だから、私は、一緒に住むことになったとき、清にある約束をもちかけた。

なるべく一緒にいて っていう、条件。
それは、全部私の独占欲からだ。

今考えても、本当、子供っぽい。

今まではこんなじゃなかった。
人にあまり興味をもつこともなく、1人が自由でよかった。

人なんて、信用しても裏切るもの。
考えること、することだって、全部自分の為で。
人と馴れ合うのも、ただ自分が寂しいから。

結局、ピタリと合う人間なんていないんだ。
どこか違って、どこかちぐはぐで、いつかお互いの居心地が悪くなって、離れていってしまう。

そんな関係なら、私は要らない。
どうせ1人になるなら、最初から1人で十分だ。

そう思っていた。



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