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胸に咲いた黄色い花  [作者:えり]

■8

自分でいった言葉に、ゾワ、と鳥肌が立った。
もし、知ったら。きっと、別れさせられる。そして、二度と会えないだろう。

重い沈黙がながれた。

「別れはいつくるかわからないってことか・・・」
尚はシンミリとそうつぶやく。

けれど、俺の落ち込んだ様子を察してか、急に明るい声をだす。

「てっことはさ、もし本気でこの先亜紀さんとやっていきたいなら、やっぱり仕事始めるべきだって。約束なんかやぶりゃいーじゃん。いくら大事な約束でも、2人の将来のためなら、って言えば、納得してくれるんじゃない。」

「ああ・・・」

2人で将来のために、なんて。
そんなこと亜紀には口が腐ってもいえない、と心の中で思った。

だって、亜紀は俺との将来を望んでいるわけではないだろう。
ただ自分が淋しいから、一時俺をかまってるだけ。きっとそうだろう。
ひもなんて、そんなもの。今までだって、いくらでもそんな扱いを受けてきたからわかるんだ。

だからそんなことをいえば「重い」ってきっと飽きられる。

そして、俺は捨てられるだろう。

 

俺たちが一緒の未来は決してない。
考えれば考えるほどそう思う。

だから、せめて、この時が長く続くようにと、切ない気持ちで願うだけなんだ。

 



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