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ホタル  [作者:三日月 遥]

■ 第13章

「え?つぶれたって…。今日行ったとこなのに?」
聞き間違いだと思った。
つぶれたなんてそんなこと少しも感じなかった。
ものにもさわれた 。
話も出来た。

「お前が入院した後すぐつぶれたんだよ。言わなかった?」
兄はあきれたような顔を、でもどこか不安に満ちた顔をしていた。

そういえば、病院に行くまでいつも迷ってしまっていた。
あそこは複雑な交差点で自転車で行くには少し困難だった。
なのに今日はすんなり行けたんだろう。
車もあまり来なかった。

「光、お前かなりやばいことに足つっこんでるぞ。」
やばいこと?
まさか。まさかそんなことは無いはずだ。
さわれた。しゃべれた。手もつなげれた。
あり得ない。信じたくない。
でも、つぶれたんならその可能性は高い。
なら、確かめてみないとわからない。

「兄さん、僕行ってくる。」
「お…おい!!懐中電灯持ってけよー?」
そしてまた走り出した。



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