ホタル [作者:三日月 遥]
■
第11章
その後、僕は灯ちゃんの病室へ向かった。
白いビニール製の白衣を着て手には赤い花を持って。
お見舞いのつもりだったけれど、もう意味が変わっていた。
僕は間違った事をしているんだろう。
どこに兄弟で好き同士なんていう人がいるだろうか。
でも、正しいものはこれじゃなくてもいいんだ。
右手に持った赤い花をそっと彼女の横に置いた。
白いベットに一輪、赤い花が咲いた。
僕は大急ぎで自転車をこいだ。
母さんに聞かなきゃならない事がある。
灯ちゃんと初めて会った日、震えていた理由はこれだ。
今日はいろいろな事がわかる日なのか?
まるで期限が切れるかのように。
家に着いた。
思い切ってドアを開ける。
「おー、光!どこいってたんだ?」
上から兄が話しかける。
でもそんな事よりだ。
母さんは?母さんはどこだ?
今聞かなきゃならない事がある。
↓目次
【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】 → 【8】
→ 【9】 → 【10】 → 【11】 → 【12】 → 【13】 → 【14】 → 【15】 → 【16】 → 【17】
|