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ホタル  [作者:三日月 遥]

■ 第6章

僕らの平穏な日々はずっと続くものだと思っていた。
このまま続けばいいと思っていた。

あの事故さえ無ければこんなことにもならなかった。
今でも好き同士、楽しくつきあっていられたかも知れない。


僕らは毎日校門前で集合し、一緒に帰るようになった。
運良く翼も茜さんのことを気に入ってるようだし、相変わらず僕も灯ちゃんと仲良くやってる。
本当に楽しかった。嬉しかった。…でも、楽しいときはそう長く続かなかった。


その日の空は雲一つ無く、晴れていた。つゆの前なのにひどく晴れていて怖いくらいだった。
そんな日でも灯ちゃんはやっぱり笑っていた。

       …それがこの夏にみた最後の笑顔だった。
         そして、僕の彼女、としての最後の笑顔だった。

灯ちゃんが倒れた。その知らせが僕の耳に届いたのはお昼すぎだった。
茜さんが翼に連絡してくれたからからわかったけれど、茜さんがいなかったら今頃気づいてなかっただろう。
三人は病院の前に集まった。茜さんは「遅い」としかめっ面をしていた。

そして、病室には白いビニールの箱のようなカバーのような透明なカーテン状の防菌カバーがベットの周りに張られていた。
その真っ白の中心に黒い制服のままの灯ちゃんがいた。



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