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ホタル  [作者:三日月 遥]

■ 第12章

奧に母さんがいる。
あそこはキッチンだ。
今料理中だけどそんなこと知らない。

母さんはこちらに気づいた。
「あら、光…どこいってたの…?」
とぼけた声で聞くな。
そんなことより。
「ねぇ母さん、灯ちゃん。河合 灯ちゃん知ってるでしょ?」

母さんの表情が凍り付いた。
「兄弟なんでしょ?ねぇ。」
母さんを睨み付ける。
母さんは視線をそらした。

そうなんだ。間違いない。

「そう…。」
「ぁ…光!!待って!!それは…」
僕はそれだけ言って自分の部屋に戻った。
母の言葉など聞かずに。
後から兄がやってきて、詳細を話す羽目になった。
これ以上黙り込んでいると身が危険だったからだ。
黙っていたらアザだけじゃ済まないだろう。

「…。そうか。で?お前どこの病院いってたんだ?
  病院なんてここら辺にあったかぁ?」
  え?
さっき行ったのに。
ここらへんだよなぁ?
自転車で行けた距離なのに?
「確か…大原病院…だっけ?」
僕がそういったとたん、兄の顔が青ざめた。
「どうかした?」と訪ねてみる。
すると兄は
「光…。お前そこ…2年前につぶれたとこだぞ…。」
そう呟いた。



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