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ホタル  [作者:三日月 遥]

■ 第15章

自転車を止め、中に入る。
思ったとおり、明るくて、あったかくて、心地がよかった。

病室は3階。303号室。
前に入院していたと同じところだ。
奇遇だ。というより奇跡に近い。

階段をのぼるたびに「みしっ」と鳴る。
さすがに2年も放っておけばもろくなるのも当然だ。
所々穴も開いている。
危うくその穴に足をつっこみそうになった。


いろいろありながらもなんとか3階についた。
長い廊下には一部屋だけ、青白い光の部屋があった。
きっとあそこが303号室だろう。と直感で感じた。
僕はそこに向かって足を進めた。

前に立ちはだかる大きな扉。
まるで小さい頃の思い出みたいだ。
点滴をしていたため手が思うように動かず、この扉が開けられなかった事がある。
その扉を思いきって開ける。


中にはばらまかれた紙と窓の枠に灯ちゃんが座っていた。



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