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ホタル  [作者:三日月 遥]

■ 第3章

僕と彼女は一緒に学校に行くようになった。とはいっても彼女が迎えに来てくれるんだけど。
僕は寝起きが悪いので朝はなかなか起きれないのだが外からの彼女の声で起きれるようになった。
母さんも毎日彼女のおかげで助かるそうだ。
彼女はいつの時も変わらず笑ってくれた。そんな彼女の笑顔に僕はいつしか胸のほてりを覚えていた。

「だからぁ…ひかるーー。それが恋って言うんだよ。」
「恋ッ!?んなわけないだろう?」でもそうだと思いたかった。
僕は彼女のことを好きになりたかった。どんな小さな恋でもいい。好きになりたかった。
僕の心に彼女の笑顔がしみこんでいくのが自分でもわかった。恥ずかしいくらいに。
確実に好きだ。僕は好きだ。
僕の頭の中は彼女といつ死ぬか、という不安でいっぱいになっていた。
他の友達をみているとつくづく腹が立ってくる。
「どうせ僕が一番に死ぬんだろうね。」僕はまたその決まり決まった単語を呟いた。
その単語を翼…親友はあきれずに聞いてくれる。僕らが幼稚園の頃からずっとだ。

「ところで、その子の名前、なんて言うの?ッていうか紹介してよー!」
「灯。河合 灯ちゃん。今日校門前に来てくれるよ。」
その名前を聞いたとたん、翼は目を細めた。
それは翼が何かを考えたり思い出したりするときにする癖だ。


…何か心当たりでもあるのだろうか。



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