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一杯のコーヒー  [作者:新藤 アキ]

■第1章−3

ものすごく喜んでるユーリを見るとこちらまで嬉しくなってくる。
コーヒーを飲みながら外を見ると、もう朝は過ぎて昼になったところで、太陽の光が強いくらいだった。
コーヒーを飲み終わった所でシュウが片付けてくれた。また敬語でお礼をしてから、これからどうしようと考えていたときだった。

「もしかして何処か住む所、探してたりする?」

「えっ、あっ、はい、そうです」

いきなりシュウに声をかけられ、驚いてしまった。しかも考えていたことと言ったことが同じなので余計に驚いた。
次の瞬間、ボクは重いもよらなかった言葉を耳にした。

「ここに住めば?」

「え・・・・・・はいっ!?」

「シオン、あせりすぎ」

「あ、うん、ごめん」

水をかけられた当てられ、考えていたことを当てられ、住めと言われたときにはどんなふうに思うだろう。あせるしかないじゃないか。
ボクはそれから頭の中がパニック状態だった。・・・・・・住んだほうがいいのか?住まないほうがいいのか?
ボクにはわからないが、やはり受け止めたほうがいいのだろうか。
しばらく考えて、やっと自分なりの答えが出た。

「ちょっとだけこの辺の住む所を探してみます。他に、住む所があるかもしれないから・・・・・・」

「・・・・・・そう。でも、それでもなかったらここに住んで・・・・・・ね」

シュウがボクのことを気遣ってくれていた。何故だろう?
とにかく、住む所を探さなきゃいけない。
ボクは大きなカバン(正確にはギターの入ったカバン)を持って外に出た。
外は、朝と同じように穏やかだった。

「さて、と・・・・・・探しに行きますか」

ふぅ、と小さくため息をついてから進んでいった。



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