一杯のコーヒー [作者:新藤 アキ]
■第1章−5
と、そのとき黄色い声が後ろからボクの耳に突然入ってきた。
「きゃぁ、かっこいい人っ!!入って、入って!」
「わっ、ホントだぁ!うっわー、こんなにかっこいい人、そうそういないよーー!」
「・・・・・・えっ?わわっ、ちょっとっ!」
ボクは、よりかかっていた店の中にいた女の子6人にひっぱられ、店に無理矢理入れられた。
どうやらボクは、「かっこいい」らしい。
「ねぇねぇっ、年齢は〜?」
「17、です」
「きゃー、可愛い声〜♪」
呆れた。こんなにもバカらしい人たちがいたのか、と思うと。
次の質問は、すぐに来た。
「ねぇっ、お腹空いてない?」
「結構空いてます」
「んじゃぁ!トースト作ってあげる!チーズ乗っけてあげるね〜♪」
「あ、はい、よろしくお願いします」
いろいろな質問が飛び交う中、ボクは冷静だった。
それよりも、疑問でボクの頭はいっぱいだった。
「は〜いっ、お待たせ〜♪」
「ありがとうございます」
目の前においしそうなトーストが、真っ白な皿の中に置かれていた。
トーストを持ってきた女の子は、ボクがお礼をして笑顔を作ると顔を赤くして目をそらした。
「あ、おいし・・・・・・」
「やったぁ〜♪」
ボクはトーストを早く食べ、早く、一秒でも早くユーリの店へ行きたかった。
「あの、お金は・・・・・・?」
「いいのいいのっ♪サービスだからね♪」
ボクに年齢を聞いてきた女の子がこたえる。
「ありがとうございました」
小さくお辞儀をして店を出る。
ボクは、店を出て、店の中にいる女の子達に聞かれないように言った。
「なんだよっ!ユーリがそんな酷いことするわけないだろ?」
ボクは、怒っていた。
↓目次
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