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名前をつけてやる [作者:優]

■ 第2話

「お前らって本当に仲良しだな」

学校での昼休み、ベランダでパンを食べていると隣にいた田口が急に言った。
田口は中学からのバスケ仲間で親友だ。
俺は新しいことに挑戦したくて、サッカー部に入ったのだが田口は高校でもバスケ部に入っている。
俺の小町への想いを知る唯一の人物でもあった。

「1年の初めからだから…えー、1年2ヶ月もバスケしてんのか。いい加減告れば?
お前見た目も良いし、スポーツ万能だし、断る女はいないんじゃね?」

田口の前半の言葉に驚く。1年、2ヶ月。そうか、俺たちはもう高校2年生なのか。
小町と出会って、一緒にバスケをして、恋に落ちてから…1年以上が経っている。
こんなに長い間一緒にいたのにまだ仲良し止まり…。
気持ちが少しブルーになる。
しばらく呆然としていると隣から田口ののんきな声がした。

「どした?何固まってるんだよ、なーつーきー」

「その名前で呼ぶな」

「なんでぇ?綺麗な名前じゃない」

そう言ったのは田口ではなかった。驚いて振り向くと、俺の真上にあった窓から小町が顔を出していた。

「おまっ、ビビるじゃねーか!お前隣のクラスだろ!何しに来たんだ」

「何って、バスケのお誘いよ。ね、知ってる?今日は全部活が休みなんだよ、整備やら何やらで。
だからいっぱい勝負できるよ!ね、行くよね。
…あっ、田口っちゃんも来ない?現役バスケ部の力で片山を倒してよ」

「いや、邪魔しちゃ悪いし今度にしとくよ。な、片山」

田口がニヤニヤとこっちを見たが、無視してやった。

「今度は来てね。じゃ、片山、放課後にマンモスね!」

そう言って小町は窓から姿を消した。

「…俺、行くなんて言ってないんだけど」

「行けよ。せっかく俺が辞退してやったんだ。あぁ、キューピッドは大変だな。
…というわけで、報酬はコーラでいいから」

お前のどこがキューピッドだよ、と言いながら少しだけ田口に感謝していた。

↓目次

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