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名前をつけてやる [作者:優]

■ 第1話

俺の家の近所にはマンモス広場という公園があり、そこには1つの古びたバスケットゴールがあった。俺はそこで小町とよくバスケをしていた。
今日も小町に誘われ、いつものように1対1をしている。いまのとこ、俺全勝。

「おーい、小町さーん。今日は全敗ですかね?」

「うるさい!これからよ、これから!」

「じゃ、次お前がオフェンスな。まぁ、チビには点やらねーけど」

「なにをぉぉぉぉぉ!!!」

小柄でショートカットの小町が物凄い気迫で突っ込んできた。勢いはあるが、ドリブルが高い。俺は軽々とボールを奪い取り、口笛を吹いてやった。

「俺の勝ちー」

「…今日は部活が厳しくて、疲れてただけだもん!」

「俺だって部活したからヘトヘトだよ。サッカーも結構キツいんだぞ」

小町は休憩すると言ってその場に座り込んだ。
俺はポカリを少し飲んだあと、隣で口を尖らせている小町の顔を覗き込んでみる。

「小町さーん。ほら、笑顔笑顔。可愛い小町さんの笑顔、見せてくださーい」

可愛い、というのは俺の素直な気持ちだが、そんなこと知らない小町は俺の言葉をことごとく無視した。

「…よし!フリースロー勝負するぞ!」

この言葉で小町の顔がパッと明るくなった。あたしの得意分野だぁ、と言って満面の笑みを浮かべている。
…ほら、やっぱり笑顔は可愛い。スネた顔も可愛らしいけど、俺は笑顔が1番好きだな…。
この街で俺以外、小町の可愛さを知らない。…そうだったらいいのに。

「片山、何してんの。早く始めようよ。今日はこれが最後の勝負!」

「…おう」

もっと続けたい、という気持ちを抑え込んで、俺はフリースローラインで手を振る小町の元へと走った。

↓目次

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