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俺、ラクガキ [作者:龍蛇]

■5

その次の日の夜。新しい家に夢を膨らませながら、ハルは眠りについた。
息苦しくなって、起きてみる。
あの箱を開けてみる。もっと苦しくなったけど、しょうがない。
中には、『ハネモノ』が入っていた。
思わずこぼれる涙。声を上げて泣いてしまった。
その瞬間、あの時のように、部屋を飛び出した。
氷のように冷たい部屋を。
(ひとつ分かったこと。それは、人は誰もが寂しがり屋のサルだってこと。)
自分自身ではわかっていなかったが、箱も一緒に持ってきていた。
また、小さい小さい箱を開けると、さっきよりもキラキラと輝いている。
それが段々強くなって、ハルを包む。
ハル「なんだぁぁぁぁぁぁ・・・!?」

今回は、ものすごく固かった。コンクリートのように、固く冷たかった。

女「ハ・・・ル  さん?」
ハル「その声は・・・?」

暗くて見えないが確かにマリだ。また会えた。
二人とも思わず泣いていた。頬を濡らした冷たい雫は、固く冷たいコンクリートを暖めた。

マリ「何で此処にいるんですか?」
ハル「俺が言いたい。此処は何処だ?」
マリ「山の中の、小さな小さな花畑です。その中にポツンと一軒、立っている家です。」
ハル「へぇぇ。此処もラクガキ王国?」
マリ「えぇと・・・簡単に言うと、王国と現実の狭間です。」
ハル「微妙だな。」

嬉しかった。でも続くと思ってはいなかったから、二人ともこの時間、一刻一刻を大切に生きていた。失くさないように、想い出を。

(I want SOUVENIR and MEMORY)




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