俺、ラクガキ [作者:龍蛇]
■6
マリ「ハルさん・・・現実の人なんですよね!?じゃあこれを・・・」
そういって手渡されたのは、『ハネモノ』だった。
マリ「お土産代わりに持っていってください!」
ハル「そうだな。うん。持って帰るよ。」
マリ「もうこんな時間!・・・おやすみなさい。ハルさん。」
ハル「おやすみ。また明日・・・」
・・・翌日・・・
また朝を迎えた。独りじゃない。すぐそこの小屋にはマリがいる。
ハルはハンモックから飛び降りると、たっと着地した。
『クスクスッ』
何処からか笑い声がする。
マリ「まだ気付いてなかったんですね。ココ。」
そういって胸に手を当てた。
ハルも胸を見ると、一輪の花が刺さっていた。
マリ「胸に咲いた黄色い花・・・似合ってますよ。」
ハル「えっっ、何と返したらいいのかな・・・ありがとう。」
マリ「もうじきあなたの迎えが来ます。お別れですね。」
ハル「迎えって?」
マリ「此処は悪い人しかいちゃいけない場所。あなたを守りに仁さんが来ます。」
ハル「・・・」
大して驚かなかった。
(だって所詮、続くと思ってなかったもん。)
心の中で言いながらも、少し泣いていた。
ほんとに来た。仁。
仁「だめだよ。ここにいちゃ。」
ハル「分かってるって。」
もう終わりだ。サヨナラしなきゃ。
じゃあねっていった。楽しかったあの日。ありがとう!ラクガキ。
今日のよき日を!ありがとう。
ぱぁぁぁぁっと光が。
まぶしい光とともに目覚めてみると、此処は自分の新しい部屋。
ハルは大きく大きくなって帰ってきた。
≪でもね、物語は終わりじゃないんだよ。
ハルがほんとに大きくなって、結婚するまで、マリは彼を見つめているんだから。≫
箱はそういったのを、大人になったハルは観ていた。
【大人になるまで。しばらくの間ごきげんよう。】
そうも言った気がした。
さよなら。少年の僕。またね。ラクガキの僕。
↓目次
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