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惑星のかけら  [作者:ケルト民族]

■7

ピンポン!

軽快なチャイムが家の中で鳴り響く。野宮が来たのだろう。

俺はチャイムの受話器をとらずに、
エレキギターを背負い、玄関へと向かった。

「ガチャ…おう、野宮」

「おう、行こうぜ」

「…その黒い袋は何?」

「あぁこれ?スネア。スタジオの使いにくいっちゃん」

「あぁ、なるほどね」

「おぅ…じゃ行こうぜ」

都心部からはなれたところに住んでいる
俺と野宮にとって貸しスタジオまでの距離は遠い。
バスに乗り駅へ向かい、電車で駅を三つ通らないと行けない距離だ。

もう少し近いところにあれば、放課後でも長い時間貸りられるが
距離が長い分エレキギターを背負っている姿を多くの人に見せられるので
別に田舎でもよかったな、と俺は時々思う。

ガタンゴトン…。空いた電車の中、二人だけで長い座席に座っていた。

「今日って稲増も来れるかいな?」

「あぁ〜部活が終わるのがはやかったら来れるっちゃない?」

稲増とは高校の吹奏楽部で知り合った長身のベーシストである。
今度の文化祭に一緒に出ることになり、近々セッションをすることになっていた。

「はやめに合わせとったほうがいいやろ?」

「ま、そうやね」

「一応メールしとくわ」

そういうと野宮は携帯を取り出しメールを打ちはじめた。返事はこうだった。

"いいよ。部活は7時ぐらいには終わると思う。"




↓目次

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