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惑星のかけら  [作者:ケルト民族]

■4

これは俺が小学校の頃の話である。

授業が終わり、「さよなら」の挨拶を済ました後、
俺は、友達の"頼藤"と一緒に通学路をとおり家を目指していた。

頼藤は俺がこの小学校に2年生のとき転校して以来、
ひとときも離れることがなかった、大切な仲間の一人である。

太ってて、ドジで、周りからバカにされているが、
似たものどうし気が合い、他のクラスメイトが
いないところでは、昆虫を探しに行ったり、よく2人で遊びに出かけていた。

俺はそんな頼藤と今日あったことや、マンガの話をしながら、
葉が黄色となった、イチョウが道路沿いに植えられた道を通り、
信号が青になるのを待って、向こう側の見る信号機の隣に立っていた。

「あなたの手って、優しそうな手だねぇ〜」

不意に後ろから老婆の声が聞こえた。

振り向けば、俺のすぐ斜め後ろに背の低い老婆が立っている。
その言葉に続けて、老婆は坦々とこう言った。

「きっとあなたの親が優しいんでしょうねぇ〜、よく手伝いとかしてるでしょ?」

どこか当たっているところがある。手伝いはしないのだが
手伝いをしなければならないというのは、心のどこかにあるのだ。

でもなぜそんなことを言うのだろう。俺はいろいろ考えた。
見た感じ手の爪が女爪だから言うのだろうか。
老婆になるほど年をとれば、それだけで全て分かるのだろうか。
というかこのご時世の中、見知らぬ子供に話かけることなどあっていいのだろうか。

そんな考えを浮かべながら俺は不気味な老婆から目を放し、
信号が青になったのを確認して、スーパーが建っている向こう側の道へと歩いた。

その老婆は俺らの家のある方向の逆の方向へと歩いていった。



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