スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ハニーハニー (作者:P)

ハニーハニー 【11】

「もうすぐ冬休みだよー」
「ほんとだなぁ・・・」
「どうするの?風は」
「俺?毎日ここに通うのみ。家にいたかねぇよ。」
「あたしも通うか・・・・。」
もうすぐ冬休み。
わたしたちは、毎日顔を合わせていた。
「まねしてんじゃねぇよ。しかもお前とクリスマス一緒かよ・・・・最悪・・・。」
「ひっど!そんなに言わなくたっていいじゃんかぁ!」
「おい、あれ」
「へ?」
そこには、一人の男の人がうろついていた。
「誰かなぁ・・・?」
「俺の偽おやじ」
「え!?あの人?」
風はお父さんの方に歩いていった。
「なにやってんの?」
少し強い聞き方だった。
「ああ、風。居てよかった・・・。探したんだぞ。」
「はぁ?なんで探されなきゃいけねぇんだよ」
「お前こそなんでこんな急に家出するとか言ってんだよ・・・・。あれでお母さん泣
いてんだぞ」
風は、家出すると置手紙を置いて、この公園に来たらしかった。
「なんだよ、あんなやつ母親でも何でもねぇっつーの。お前も探しにきやがって、親
じゃないくせにいばんじゃねーよ!」
「はぁ?親じゃねぇって何がだよ」
お父さんは、困った顔をしていた。
「は?全部知ってんだよ。前、『風の教育費出しても食べていけるかな』とか『何で
あんなの預かっちまったんだろう』っつっておふくろと話してたじゃんか。全部聞い
てんだぞ。」
「・・・・・・・・・・・ぷっ(笑)」
「なに笑ってんだよ!意味わかんねぇ!!」
「お前・・・・・・・・・・・・・・勘違い。それ(笑)」
「はぁ?」
「しゃべっとかなきゃな。この前、ちょっと詐欺にあってなぁ。がっぽりとられっち
まったんだ。」
「それがどうしたんだよ!」
「だから・・・・・『となりのおばさんの家に配達したいんだけど、いないから預
かってくれ』って言った詐欺師のことを信じて預かったら、『預かってもらうから金
ちょうだい』見たいな感じで、やられた。そのときお母さんがいなかったから、金が
無くって、銀行の番号教ちゃったんだよ。もうすぐ他の銀行に移そうと思ってたし、
そんなにとったら絶対会社で問題になるはずって思ったからな。」
「は・・・・・・・・・・預かったって・・・・・・・・・」
「お前じゃないよ。どんだけ勘違いしてんだよ」
そうやって、風の勘違いは伝説になって、いろんな人に伝わった。

P 著