便秘の原因と対策

便秘の科学(その2)

便秘の種類

おおまかには、急性便秘と慢性便秘の2つに分類され、 その中でも、日本国民で便秘で悩まされているほとんどの人が、 慢性便秘の結腸性便秘となります。
これは、ぜんどう運動が弱いために、便を十分に押し出せないことから起こる便秘です。 


急性便秘とは

急性便秘には、一過性単純性便秘と症候性便秘に分類され、基本的には、一時的なものです。

一過性単純性便秘

食生活や環境の変化、精神的ストレスなどが原因で起こる一時的な便秘で、急性便秘の多くはこのタイプです。 
たとえば、食事量が少なかったり、おなかをこわして消化のよいものばかり食べたりすると、便の材料がなくなって、一時的に便秘を起こしやすいのです。 
水分の摂取量が少ない場合も、便が硬くなって便秘を起こします。 また旅行などで、生活環境が急に変化したり、精神的な緊張やストレスが生じたときも一時的に便秘になることがあります。 
しかし、このタイプの便秘は、おなかが張る程度で、たいした苦痛は伴いません。 また原因が取り除かれれば、自然に治ります。

症候性便秘

病気が原因で起こる便秘のことで、腸閉塞などの病気が原因となります。 
この場合は、激しい腹痛や嘔吐を伴うことが多く、急いで病院を受診することが必要です。

慢性便秘とは

慢性便秘には、結腸性便秘と直腸性便秘とけいれん性便秘に分類され、 基本的には長年付き合っていく可能性が高い症状が多いです。

結腸性便秘(弛緩性便秘)

結腸の緊張がゆるんでいて、ぜんどう運動が弱いために、便を十分に押し出せないことから起こる便秘です。 高齢者、虚弱体質の人、内臓下垂のある人、病気などで体力が低下している人に多く見られます。 
この便秘になると、腹部膨満感、残便感、食欲の低下などの症状が見られます。 頭痛や肩こり、手足の冷え、倦怠感などの症状を伴うこともあります。 
便秘の多くはこの結腸性便秘で、次の直腸性便秘と重なって起こることもあります。

直腸性便秘

直腸の神経が鈍くなったために、便意を感じにくくなり、大腸のぜんどう運動も始まらないことから、排便が困難になってしまうものです。 
直腸性便秘は、便意を見逃したり、無視したことがきっかけで起こります。 たとえば、朝トイレに行く時間がなかったり、痔のために排便を我慢したりしていると、次第に神経がにぶくなって便意を感じにくくなってしまうのです。 直腸性便秘になると、直腸にたまった便がコチコチに硬くなります。

けいれん性便秘

結腸性便秘とは逆に、大腸のぜんどう運動が強すぎるために起こるもので、便秘と下痢が交互に起こったり、下痢が続くこともあります。 原因は主に精神的なストレスです。 これが自律神経に影響を及ぼし、腸がけいれんを起こして、ところどころがくびれて狭くなってしまうために、便の通過がさまたげられてしますのです。 
この便秘の特徴は、食後に下腹部が痛くなることです。 便意も起こるのですが、うさぎの糞のような便、あるいは細い便しか出ず、残便感があります。


なかなか出ないときには、無理せず薬を利用しましょう。
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便秘になる原因とは

(1)朝食を抜く

朝食を抜くと、「直腸・結腸反射」と「胃・大腸反射」という2つの排便システムが正常に機能しないことから、腸の活動が不十分になり、便意が起こりません。 このような状態を続けていると、しだいに便意を起こす自律神経の働きが鈍くなって、便秘が慢性化してしまうのです。

(2)暴飲暴食

食事を摂らないのもいけませんが、逆に食べ過ぎや飲みすぎもよくありません。 というのも、食べ過ぎて胃もたれや下痢を起こしたり、二日酔いで食欲がなければ、食事を抜くことになります。 つまり、食生活を不規則にしてしまい腸の働きを乱してしまいます。 実際、下痢で1日断食して、それがきっかけで便秘になることはよくあることです。

(3)便意の放置

便意が起こっても排便をしないという状態が続くと、自律神経の働きが鈍って、ついには便意そのものを感じにくくなるという事態になります。 

(4)食物繊維不足

食物繊維は、便の量を増やして、排便をスムーズにします。 また、ダイエットしている人にとっては、食事の絶対量が減るので、当然、食物繊維の量も減ることになります。 実際、食物繊維をよく摂るアフリカ人は、ほとんど便秘はありません。

(5)水分不足

水分不足だと、食べ物が腸で水分を吸収した後の便が硬くなり、排便の妨げとなります。

(6)ストレス

腸の働きが、自律神経に支配されているため、精神的ストレスが、腸の運動を乱します。 その結果、便秘や下痢を起こします。

(7)腸の病気

大腸がん、大腸ポリープ、腸閉塞 等 の大腸の病気があると、朝刊が狭くなったり、詰まったりするために、便秘を起こします。


便秘になりにくい食事とは

(1)朝食を抜かない

いい加減、しつこい!! と思うかもしれないけど、何度でも言わせてもらいます。 
必ず朝食は抜いてはいけません。 私たちの体には一日のリズムがあり、消化も排泄も、そのリズムによってコントロールされています。 
規則正しく食事をとることで、初めて排泄もスムーズになります。 
早起きをして、食事のあと、ゆっくりできる時間をもてるかどうかも重要になってきます。

(2)食物繊維を十分に摂る

これもしつこく言っていますね。 でも重要なことです。 
おそらく、昔から何度も聞かされたことだと思います。 それだけ聞いていて、普段、気をつけていても、なかなか必要な量を摂ることが難しいのが食物繊維なのです。 それだけに、食物繊維を十分摂るだけで、便秘が治る人も多いそうです。 食物繊維が大腸を刺激して、ぜんどう運動が高まります。 さらに食物繊維は、健康に役立つ腸内の善玉菌を増やすほか、発がん物質の体内の有害物質や、コレステロールを便に取り込んで、早く対外に排出してくれるので、大腸がんなどの予防にもなります。  また、食物繊維には、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防する効果もあることが分かっているため、健康のためにもぜひ摂りたいですね。 では、どれくらいの量を摂ればいいのかと言うと、1日に20g~25gの食物繊維を摂るようにすれば、便秘、や生活習慣病の予防になります。

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上表にあるように、大豆などの「豆類」、ごぼうなどの「根菜類」、しいたけなどの「きのこ」、ひじきなどの「海藻」に食物繊維が多く含まれます。
この表を見る上で気をつけなければいけないのは、この数字が100g中に含まれる量だということです。 たとえば、ひじきの数字がものすごく高いですが、ひじきをたくさん食べれるような料理はあまりありません。 できても副菜として、ちょっと食べる程度だと思います。 同じように、しいたけを、たくさん食べることは難しいです。 そういう点では、納豆が優秀です。 納豆1パックで、5~7gの食物繊維をとれます。  あと、「テンペ」というのをご存知ですか? まだあまり知られてない奇跡の食べ物? ともいえるテンペとは、大豆発酵食品の一種で、インドネシアの伝統的発酵食品です。 納豆のように癖がなく、いろんな料理の素材として使えます。 
例えば、切って炒め物にしてもいいし、からあげにしてもいい。 酢豚の豚の代わりに入れてもOK。 ちなみに食物繊維は、100g中、約10g程度存在します。  ダイエット中の人にとっては、たんぱく質も豊富ですし、ぜひお勧めしたい健康食品です。
何年後かには、必ず大流行すると思っています。(←予言<笑>) 

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便秘にいい体操とは

(1)腹筋を鍛える

腹筋の力が弱いと、大腸が下垂気味となり、本来の機能を果たせません。 
排便のときに、いきんでも、十分な圧力がかからない為、便を押し出すこともままならなくなります。 腹筋を鍛えることは、腸に刺激を与えることにもなるので、大腸のぜんどう運動も活発になり、便意が起こりやすくなります。
また、腹筋を鍛えるだけでなく、体操や運動をすることによって、全身の血行もよくなり、新陳代謝も高まります。 さらに排便をコントロールする自律神経の働きもよくなるので、ぜひ運動しましょう。

(2)逆立ちをする

一般に、便秘の人は、全身の筋力が弱く、胃や大腸などの内臓が下垂していることが多いです。
逆立ちをすると、下垂していた内臓が動くので、大腸が刺激されて、ぜんどう運動が起こりやすくなります。 
また、逆立ちを繰り返し続けていると、内蔵が何度も上下に動くので、それを支える筋肉や靭帯が鍛えられ、腹筋の強化になるだけでなく、しだいに内臓下垂も治っていきます。
さらに、足先に停滞していた血液が頭のほうに流れるので、全身の血行がよくなり、腸だけでなく、内臓全般の働きがよくなります。

(3)腹式呼吸をする

腹式呼吸が、なぜ便秘にいいのかというと、おなかをふくらませたり、へこませたりすることで、腸が刺激されて、便意が起こりやすくなるからです。 と同時に、腹筋も鍛えられるので、いきむ力も強くなり、腸の働きも活発になります。 
また、腹式呼吸には、ストレスによる体の不調を取り除く効果もあるので、ストレスからくる便秘には、さらに効果が高いです。